僕が当時住んでいた生家、東京郊外の中でもさらに田舎。
木々に囲まれる閑静な住宅地のさらに奥には土地を活かした大きな福祉施設、病院が並んでいる。
小学生の時分、近所の友達と僕の弟でよく野を駆け回り遊んでいた。
携帯ゲーム機の流行も関係なく、外で遊ぶのが好きだった。
家の目の前が運動用の広場となっていたので遊び場所には困らないのだが、毎日同じでは飽きてしまうもの。
ある日、その3人で探検と称し施設が広がる山肌に向かってみることにした。
すると斜面に面した小さな規模のお墓を見つけた。
段々となっていたので飛び降りたり、木の棒を振り回して遊んだ。
その夜、僕は初めて”金縛り”になった。寒気がしたと思ったら体が全く動かせないのに気づく。
混乱と恐怖の中、眼球だけは動かせた。
僕の枕元に目を向けると、旧日本軍?のような軍服を着た、兵士のような人の姿があった。
帽子で顔は見えないが、頭がこちらを向いている。今までに無い経験、ただただ怖くて目を瞑る事しかできなかった。
いつの間にか寝ていた様子、翌日弟に説明するが信じる訳が無い。
お墓に秘密がある!ともう一度行ってみる事に。遊んでいる時は特に気にならなかったが、一基だけやたら大きな墓石があった。
そこには「〜兵、ここに眠る」といったような文字が刻まれていた。
一瞬で理解した、昨夜枕元に立っていた兵士だと。怒らせてしまったんだと思い背筋が凍りつく感覚を覚えた。走って帰った。それからそのお墓で遊ぶ事は無くなったなんて、言うまでも無い。
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