それは、親戚のおばあさんが亡くなった時のことでした。
そのおばあさんは若いころから三味線が上手で、親戚などが集まったりしたときには、いつも三味線を弾いて歌を歌ったりしていたのです。
おばあさんが亡くなったのは寒い冬で、お通夜もお葬式も菩提寺で行われました。
たくさんの人が集まってお通夜が終わったあと、私たち親戚はそのお寺に泊まることにしました。
数人でお線香を交代であげるために寝ずの番をしていて、いろいろなことをおしゃべりしていると、突然三味線の連れ弾きのような音がしました。
深夜に三味線が鳴ってびっくりして音のする方を見ました。
そこにはいろいろなものが置かれていたのですが、その中に袋がありました。
袋の中を見てみると、それは三味線でした。
たまたまお寺に置かれていた三味線の糸がきれて、その糸がクルクルと回って音が出たようでした。
三味線が袋の中に入って立てかけてあったのです。
寒い晩だったので暖房をしたために、乾燥をして三味線の糸が偶然その時に切れてしまったのかもしれません。
みんなが「おばあさん、三味線弾きながら行っているんだ」と言い合いました。
偶然にしては、あまりにもぴったりで驚いたことを今でも覚えています。
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