4000兆円文庫被害者列伝 第一被害者『更科悠乃』先生

今回、ふとインタビューをしてみたいなと思い。
近くにいた更科悠乃さんのweb作家人生をインタビューしてみてプロに校閲を入れて貰ったらどうなるのかという企画です。それでは、最後まで楽しんで下さい

 

――というわけで、いきなり本を出す計画はさておき、『4000兆円レーベル』(※1)でのインタビュー記事一発目の練習として、更科先生をお招きしました。何から伺えばいいですかね?

更科:知らんがな。

※1:2022年の春頃思いつきで出来た、活動はしてるようなしてないような気がする。
公式垢や公式HPは無い。ついでにいうと『4000兆円文庫』か『4000兆円レーベル』なのかもはっきりしていない。

 

――ちなみにこのインタビュー記事チャレンジは『4000兆円活動記録』として、ブログに載せたうえで、プロ(※2)に整形してもらったものも掲載予定です。

更科:どうなるのか楽しみですね。

※2:鶴岡八幡さん。

 

――自己紹介は……とりあえず概要(※3)に書いておきます。

更科:自分をつついても。おもしろ話できませんよ?

――まずは気楽にやってみましょう!

※3:快傑令嬢、あなたの恋に参上いたします!

小説歴と現在に至るまで

――「Web小説家歴」と言いますか、原稿をネットでアップするようになってどれくらい経過されましたか?

更科:二次創作も含めて「Webに小説を載せ始めた」、という前提ですと、一番最初は1996年くらいだったかと。日本ファルコムのRPG『英雄伝説3』(※4)の二次創作を自分のホームページに連載したのがスタートでした。そこからKeyさんの『Kanon』(※5)関連の長編二次創作を作ってきました。

※4:英雄伝説III 白き魔女(1994年発売)

※5:Kanon(1999年発売)

 

――かなり歴史がありますね。そこから現在にいたるまでに、ブランクがあったとお聞きしています。

更科:20年くらいの断絶を経て、2021年の初夏くらいに『小説家になろう』に一次小説(※6)を連載を始めて、現在『快傑令嬢』の連載に至る形です。ただ断絶が空きすぎて、執筆期間そのものとしては5年もないかなと。

※6:少女が愛した千の恋と万の嘘 -電装騎士フェイリス-

 

――大先輩ですね……。自分のホームページや最初に書いた二次創作はまだ残ってたりしますか?

更科:ホームページ自体は消えてしまって、Webには残っていないはずです。データとして手元には抱えています。

 

――電子の海に消えず、まだ残しているのですね……。

更科:それぞれ、かなりの長編ですからね。『英雄伝説3』と『Kanon』という二つの作品を、自分なりの解釈でまるまるノベライズとして仕立て直した感じです。

 

――ちなみに文字数はどれくらいで?

更科:『Kanon』の二次創作を例にしますが、HTML形式で3メガバイトくらいですね。web掲載を前提としているので、テキストとしてのサイズはカウントしていません。

 

――タグを含めて150万文字ぐらいですか?

更科:余計なタグがあるから120万文字くらいかな? というところになるかと。

 

――そういえば当時だとhtmlを直接いじるなら、膨大なタグ必要でしたね……。(※7)

更科:『英雄伝説3』の方はCDに焼いたままなんで、今すぐ確認できませんが、一本のRPGをオープニングからエンディングまで書き上げてました。それなりの文量だったと思います。

※7:90年代00年代はホームページビルダーがあってもHP作るの大変だった。

 

――それもまた凄い文量になってそうですね。そういった小説を書くきっかけとか覚えていますか?

更科:もともと小説を書いてみたいという気持ちがあったのと、当時Windowsパソコンを買ってもらってPCのRPGにハマり、同時期に家からインターネットに接続する環境ができたタイミングだったんです。「ホームページを持ったら自分の小説を書いて載せよう、でも話題作の二次創作を書いたら読まれるし交流もできるだろうな」という動機でしたね。発売された年代からもわかりますけれど、『英雄伝説3』(1994年)の方が『Kanon』(1999年)が早かったです。

 

――当時は、『英雄伝説』の二次創作が流行っていたのですか? 記憶的には『エヴァ』とか『GS美神』とか『ナデシコ』(※8)といったアニメコンテンツが強かったような気もしますが。

更科:『英雄伝説』の二次創作自体は流行ってはいませんでしたね。僕もエヴァにはまった口ですが、『英雄伝説』のファンはは熱量の高い人たちが多くいらっしゃって、深く入り込んでいた自分としては、そちらの縁が強かった。

※8:新世紀エヴァンゲリオン(1995年)の影響で回線が弱かった事もあり絵では無く二次創作が流行った、機動戦艦ナデシコ(1996年)のルリルリやアキト物、GS美神 極楽大作戦!!(1991-1999年)の横島物もブームに。

 

――そういえば当時は小説そのものが少なかったですね…『Kanon』というか『リーフ』『Key』のファンの総称である「葉鍵系」(※9)で爆発したイメージです。あとはまだBBSやグルチャがメインでしょうか?

更科:そうですね、草の根ネットといいますか、つながっているという意味では地方とも交流が活発でした。そういうファンの集まりの中で、自分が披露できるものとしたら『聖剣伝説』(※10)の小説かも、というきっかけで書き始めました。

※9:リーフは株式会社アクアプラスのゲームブランド、keyは株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド。
KanonSSリンクや当時ヒットした映画のバトル・ロワイヤル(2000年)のパロディである葉鍵ロワイヤルなどで流行った。

※10:聖剣伝説3(1995年)のリース人気はずっと高い。

ペンネームの由来はなんですか?

――まだ2chとかが生まれる前は、チャットやBBSが本当にカオスでしたね。

更科:ハンドルネーム文化の最盛期でしたね。そういう意味ではツイッターに通じるものが合ったかも知れません。

 

――ちなみにハンドルネーム兼ペンネームは、当時から使われていますか?

更科:今の『更科悠乃』というネームはそれこそ『Kanon』の二次創作を書き始めてからです。2000年頃には使っていたと思います。それ以前は、ハンドルネームに本名を使っていても問題がない、という時期もありました。

 

――確かにインターネットというか、パソコン通信とかの時代は本名使っていたかも知れません。一応今のSNSも本名使ってる人はいますがね、時代は大きく変わりましたね。

更科:まだまだネットもクローズドな部分が多かった時代でした。

Web小説との関わり方

――毎日更新をしている更科先生にききますが、その秘訣は?

更科:毎日更新をしなければいけない、と自分にノルマを課すことです。

 

――ノルマですか……?

更科:「しなくてもいい」と定めてしまえば、楽な方に楽な方に転がってしまう。一日空き、二日空き、三日が四日になって、最後にはエタる(永遠に続編が出ない。エターナルが由来)かも。一日空いてしまったら、翌日に二話書いてやろうと思わないといけない。自分で自分に強制をしないと、習慣はなりたたないと思っています。

 

――更科先生は執筆時間は何時間で何文字ぐらいを心掛けていますか?

更科:4時間で5000文字行けばいいペースだと思っています。最低限の推敲しかしないパターンですが。

 

――一文字単価で考えると安いですけれども、クオリティが高いものが出力されるのは間違いないので、アウトプットの速さもあって単価が高いなら最高ですね。執筆に充てる時間帯などは決まっていますか?

更科:最近は早朝、午前三時くらいに起きて午前七時くらいまでを執筆時間にしています。平日はこのリズムで出勤前に書いてしまう感じですね。休日は日中もできるだけ執筆に充てたいと思っていますが、休息の方に時間を取られがちですね。

 

――毎日ノルマと書く時間帯を決めて、生活習慣にするのが毎日更新するコツですか! それでは、小説投稿サイトに投稿したい方へのアドバイスなどてありますでしょうか?

更科:Web小説を書いている方々に言いたいことがあるとすれば、物語の設定よりも「登場人物のドラマの方に情熱を注いで欲しい」というのが前提としてあります。全員ではありませんが、自分の小説を紹介する時も、ほとんど設定しか聞こえてこない事が多い。どんなキャラクターがいて、そのキャラクターがどんなドラマを展開するのか、作者が描きたいものや作者の気持ちがが伝わってこない。

読みたい触れたいのは設定ではなくて、その作者にしか作れない物語だと考えています。このスタイルを強要するというのではなく、僕が触れたいと思うものは設定ではないし、読者も設定だけ読みたいのではなく、ドラマを楽しみたい人も少数派ではないということは知って欲しいです。

作家さんの増加で投稿作品の数が膨れ上がり、本当に読みたい作品を掘ること自体がも大変な作業になっています。そのため掘り出す作業が億劫になるので、必要な成分は自分で書かねば得られない、という気持ちも大きいです。

 

――自給自足ですか。

なろうソムリエを名乗られる方もいますので、信頼できる方に「掘り出し物の作品を選別してほしい」という他力本願な気持ちもあります。ただ、2022年5月6日現在ですと、出版や発表のハードルが低くなって、昔のレーベルでは足切りされていた水準のものでも市場に溢れ出してきた弊害かもしれないので、より高い水準をお届け出来るようにしいたいです。

――ありがとうございました、『4000兆円レーベル』のほうでも、更科先生の作家性を全部ぶつけている『快傑令嬢』のカクヨム連載を応援していますので、是非ともお読みください。よろしくお願いいたします。頑張って売り上げていきます!

舞台裏(余り)

――ありがとうございます。では、更科先生の熱意も伝わった所で……インタビューってこんなかんじだと思いますけど、どうでした?

更科:雑誌に載ってる2~4ページのインタビュー記事ってこんな感じじゃないですかね。

――ですよねー、いやー私もこんなインタビューするの初めてだから雰囲気こんなかんじかなーでやりましたよ。

更科:絶対鶴岡さんの方が面白い話出て来ますわ。

――ちなみにこのインタビューのタイトルは『4000兆円文庫被害者列伝 第一被害者『更科悠乃』先生』とかにしようと思いますけどいいですか? 第一被害者は固定です。

更科:全然異議がない悲しみ。

――では最後に宣伝でもどうぞ

更科:僕自身はどうでもいいですが、僕の作家性を全部ぶつけているつもりの『快傑令嬢』をカクヨムで連載しています。是非ともお読みください。よろしくお願いいたします。

――それでは第一被害者更科悠乃先生でした、ありがとうございました。

更科:どうもありがとうございました、こんなんでええんやろか。

――下書きできたらみせてとは鶴岡さんにいわれてる。

更科:人数集めたらそれはそれで面白そう。

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