必殺シリーズにおける中村主水という存在

必殺シリーズとは

藤田まこと演じる中村主水が主役の裏稼業モノというイメージが定着しています。

また、藤田まことが亡くなった後も、その遺志を継いだ東山紀之松岡昌宏らジャニーズが中心となって年1回程度のスペシャルが継続されている人気時代劇です。

一番有名なシリーズ

一番有名なシリーズは「必殺仕事人」でしょう。

現在も継続中のシリーズといえばやはり「仕事人」ですし、三田村邦彦演じる飾り職人の秀や、中条きよし演じる三味線屋勇次などの人気キャラクターを輩出したのも「仕事人」シリーズであることは間違いありません。

しかし、必殺シリーズとして全体を俯瞰した時、「仕事人」シリーズや中村主水はどういった立ち位置に存在するのでしょうか。

そもそも、必殺シリーズの第1作目は「必殺仕掛人」というタイトルで、鬼平犯科帳などで有名な池波正太郎のピカレスク小説を原作とした殺しのプロフェッショナルを描いた作品でした。

主演は林与一(西村左内)緒形拳(藤枝梅安)であり、この作品に中村主水は存在しません

「仕掛人」は裏番組の中村敦夫主演の「木枯し紋次郎」を打倒するために制作された異色時代劇でした。

必殺の始まりに中村主水はいなかったのです。

第二作目「必殺仕置人」

つづく第二作目「必殺仕置人」において、ついに中村主水が登場します。

しかし、主役とされるのは山崎努(念仏の鉄)であり、二番手の役柄には沖雅也(棺桶の錠)が配置されました。

主水はあくまでも脇役であり、殺しを行わないことも多い作戦参謀的な役向きでした。

とはいえ、ドラマをきちんと鑑賞してみると、「仕置人」チーム誕生の根本にあるのは中村主水であり、実質的な主人公であったといっても過言ではないのかも知れません。

しかし、あくまでもテレビ的には山崎努がトップでクレジットされていたのです。

中村主水は脇役として扱われ続けた

中村主水第三作助け人走るにゲスト出演したのち、第四作「暗闇仕留人にて再び裏稼業を始めようとします。

しかしここでも藤田まことがトップとしてクレジットされることはありませんでした。

石坂浩二演じる糸井貢が主演扱いだったのです。

俗に中村主水が登場するシリーズを主水シリーズと呼びますが、この主水シリーズの第3弾(必殺シリーズ第6作目)において、いよいよ中村主水を中心にしてドラマが展開される作りになります。

必殺仕置屋稼業』がそれですが、主水が主人公であるにも拘らず、クレジットのトップは沖雅也演じるクールな殺し屋市松が配置されました。

主水は一番最後にクレジットされる「トメ」「起こし」と呼ばれる必殺シリーズ特有のいわば特別出演のような枠に入ってしまいます。

つづく第7作「必殺仕業人」はかつてのライバルだった紋次郎・中村敦夫が主演に招かれ、ここでも主水は実質的な主役であるのにまるで脇役のような扱いを受けてしまうのです。

第10作「新必殺仕置人」からようやく名実ともに主役扱い

藤田サイドはこれを不服とし、第10作「新必殺仕置人」でのトップクレジットを要求します。

「新仕置人」は念仏の鉄がシリーズに復帰するというのが売りでした。

いつものように藤田サイドが何の抗議もしなければ、山崎努がトップとしてクレジットされていたでしょう。

結局、この作品を以って名実共に主水が主役に、念仏の鉄は起こしのトメという今まで主水が甘んじていた場所に配置されることになります

以降のシリーズはメンバーがどう変わろうと、いかに豪華なキャストを迎えようとも、中村主水がトップでクレジットされるようになりました。

「必殺仕事人」は第15作目の作品

ここまで読んでいて、「おかしいな」と思った方も少なからずおられるのではないでしょうか。

あの有名な「仕事人」が話の中に出てこないからです。

実は必殺仕事人」は必殺シリーズ第15作目の作品であり、必殺がスタートしてからかなりの時間を経て制作されたシリーズなのです。

当初はその前作「翔べ!必殺うらごろし」が低視聴率に終わり、必殺シリーズの最終作として企画されたのが「必殺仕事人」でした。

原点回帰し、「仕掛人」のような世界観に主水を組み合わせて作ったものであり、最終回では仲間が全員死亡するという壮絶なストーリーが準備されていました

しかし、風向きが少し変わったのです。この第15作目「必殺仕事人」にて登場した飾り職人の秀が女性層からの人気を獲得し、秀人気で「仕事人」は路線を変更、全84回にも及ぶシリーズ最長作品となったのです。

仕事人ブームの到来

第17作「新必殺仕事人」でも秀は続投し、このシリーズから登場した三味線屋の勇次主水のトリオは大人気を博しました。

ちなみに「新仕事人」最終回で秀は死亡退場する予定だったのですが、なんと助命嘆願が数多くテレビ局に送られ、秀の死亡はなかったことなったのです。

秀・勇次人気に引っ張られ、世には「仕事人ブーム」というものが発生しました。

両者が退場した後も、その後継とも言えるキャラクターである花屋の政(村上弘明)組紐屋の竜(京本政樹)が「第二次仕事人ブーム」を起こし、「仕事人」は必殺シリーズの代名詞として世の中に浸透しました。

時代の変化

この頃の中村主水は不動の主人公ではありましたが、初期必殺で見せていたような凄味は、若手人気の影にひっそりと隠れてしまっていたのです。番組はドラマ要素を極力排除してバラエティ化し、どこから見ても楽しめる作りに変化しました。

あまりに芝居が単調過ぎると、藤田まことからクレームが入ることもありましたが、そんな「仕事人」でないと視聴率が取れない時代に入っていたのです。

初期のハードな必殺を求める層にとっては、嵐のような時代でした。

中村主水にとっても、それは同様だったのではないでしょうか。主水(藤田)亡きあと現在も続く「仕事人」シリーズ、決してそれが必殺の全てではないのです。



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