
というわけで、今回はタイトル見てビビッときたこの作品
センス的に考えて面白くないわけが無い

どう考えても暗そうな作品なのだ
明るそうな要素が何も無いのだ

私のセンサー的に考えて絶対当たり
内容はこんな感じ
大正終末論~鬼女紅葉の妄執~
132,419文字 感想1
あらすじ | 大正時代。悪鬼に惨殺された妹の仇討ちのため、復讐に取り憑かれた特別高等警察の青年の物語。 |
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作者名 | 千葉 仲達 |
キーワード | 残酷な描写あり 伝奇 ハードボイルド 時代小説 サスペンス 和風伝奇 大正時代 特別高等警察 男主人公 鬼女紅葉 精神病院 癲狂院 和風ファンタジー 酒呑童子 兄妹 |
ジャンル | 歴史〔文芸〕 |

流行りの要素が一切無いどころか、何もかも逆らってる気がするのだ…
絶対難しい文章のやつなのだ

こういう、流行りなんて知るか、私は私の好きなように書くと振り切ってる感じとタイトルに、簡潔なあらすじ、絶対私好み

いやでも絶対暗くて暗くて暗い難しい小説なのだ…

このわずかな情報からでも感じる何か
絶対良い、それに一話の出だしからしてセンスが凄く好き
妾は椛の朽葉が敷詰められた地面の上に斃れてゐた。
白銀の望月が煌煌と照る夜である。
視界には椛の梢と此方を覗く娘がゐた。
白い膚に長い碧髪をもつた、天女の如し女である。
纏う猩猩緋の洋装は椛の葉よりも鮮やかな紅をして、燃えてゐるやうであつた。
「ねェ、ひとつお願ひがあるのだけれど」
横臥した儘、女に云つた。
躰を起こそうにも力が入らず、また月が眩ひからと掌で顔を覆ふこともできない。
眸を瞑ることすら叶わぬ妾に動かせるのは唇と舌だけであつた。
女は、妾の掌を諸手で包み乍ら、何ですか、と尋ねた。
「妾は間もなく死にます。その前に、妾の體を喰つてしまひなさい」

めっちゃ難しそうな雰囲気なのだ…

この昔の小説風の難しそうな雰囲気を表現として出しつつ、内容を読むと解りやすく書かれている、絶対腕の良い作者よ、万人受けは捨ててると思うけど

そういうものなのか…?

完全な好みの問題だと思う
この感性と文章書ける作家の作品が面白く無いわけがない

めちゃくちゃ褒めてるのだ
…まあでも褒めてる姿はよく見る気がするのだ

まず舞台である大正時代
大正時代なんてどんな光景だったかわからないが作中の表現で大正時代と解る
これは最初から最後まで大正時代の物語

大正時代ぽいってなんなのだ…?

サクラ大戦みたいな世界
モダンな感じ、でも作者の伝えたい大正時代は多分そうじゃない

なんとなくわかったのだ

うん、良いわねこれ
何が良いかって続きが気になる、どう物語を動かすかが物凄く気になる
こういう一話一話、続きが気になる作品ってのは本当に良い作品

そんな良い作品ならもっと伸びてるだろう
何で伸びてないのだ

文章、表現、テーマ、全て流行フル無視してる
この内容がなろうでバズるわけがない
難しそうな文章、大正時代、精神病、鬼、残酷な描写これで流行ったら奇跡だと思う

まったく流行る要素が無いのだ

でもとても良い、この雰囲気がとても良い
舞台が、人物が、行動が、表現が良い
難しそうな雰囲気で簡単に理解させるこの文章の何と難しき事か

で、この作品の評価は何点なのだ?

全部読み終えてから書くことにする
今回は全部読んでから書きたい、どういう終わり方するかとても気になる

まあそれも良かろう
では、私は野球でも見て…

読み終わった
うん、大正終末論であり、鬼女紅葉の妄執であった
時代をテーマにした作品は久しぶりに見た気がするとても良かった

では五点満点なのだ

ただ、最終盤
これは作者の書きたかった事なのか、演出なのか、それともこういうまとめかたで正しいのか、判断がつかないわね…作者に聞いてみたい、とても気になる

んー?
五点満点ではないのか?

満点は満点だし、どう答えられてもしっくり来るが気になる最終盤だった
どういう意図があったのか、時代が主役であり、主人公はいなかったという認識で良いのか…?

良い作品ならそれで良いのだ
神作品というやつなのだ!

作者がどういう思いをこめて、この作品を書いたかがとても気になる
そんな作品、読んで損は無いと思う

皆も掘ろう、スコップの輪

何が主人公で、誰の物語だったか
色々と気になる作品、感想ぶちこみまくっておこう作品のもっと深い何かが解るかもしれない
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