IoTと一度は聞いたことがあるかもしれませんが、「IoTの意味は?」と聞かれてしっかりと答えられる人やIoTの意味について正確に理解している人は少ないのではないでしょうか?
そこで、本記事ではIoTとは何か、IoTを利用することで何を実現することができるのかについて具体例を用いながらできるだけわかりやすく解説していきます。
IoTとは?
近年話題でよく聞く言葉であるIoTですが、この概要についてしっかりと理解していない人が多いと思います。また、「何がすごいのかいまいちわからない」と感じている方もいるでしょう。
ここからは、IoTの概要に関してやこれまでのインターネットとの違いについて詳しく解説していきます。
IoTの概要
IoTというのは「Internet of Things」の頭文字を取ってできた言葉で、モノのインターネットと日本語では呼ばれています。
インターネットは自宅や会社にあるパソコンから接続するものでしたが、この20年間の急速な技術発展によりスマートフォンなどに接続できることが可能になったのです。
そして、モバイル端末やパソコンだけではなく家電やカメラ、自動車等といったモノをインターネットに接続する技術が作られます。
これが「モノのインターネット」と呼ばれるようになり、近年注目を集めているのです。
インターネットはパソコンやモバイル端末だけの接続からさまざまなモノにつながることにより、データなどを活かすことができます。
そして、より高い価値のサービスを提供することができるようになるのです。
これまでのインターネットとどう違う?
これまでのインターネットでは、人間がパソコンやモバイル端末を利用してデータを入力することや、動作を指示するなどして操作していました。
例えば、YouTubeで自分の見たい動画を検索するために検索ワードを入力します。
そして、検索から動画の中から自分の見たい動画を操作して探すというような形になるのです。
しかし、IoTの誕生によりこのような動作を人間がする必要がなくなり、モノに取り付けられたセンサーが勝手にデータを集めてくれます。
また、データを送付してくれることなどをインターネット経由で行うことが可能になりました。
これが従来のインターネットにおける考え方とIoTの違いです。
IoTに必要な4要素と仕組みとは?
ここまでは、IoTの概要やこれまでのインターネットの考え方との違いについて詳しく解説していきました。この章では、IoTの仕組みに関することやIoTに必要な4つの要素について紹介していきます。
モノ(デバイス)
1つ目の要素である「モノ」はIoTの主体となります。ここで言うモノというものは、すべての存在しているあらゆる物体が対象です。
その理由は、センサーを取り付けられるものならすべて対象にすることができるということから来ています。
日常生活の中であれば、車や家電やスマホ、時計、机、ペン、トイレ、洗濯機などが当てはまるでしょう。
技術の発展により、これらすべてのものが対象になる日がいつか来ます。
センサー
次に必要な要素は「センサー」になります。このセンサーを先ほど挙げたモノに取り付けることによって周辺環境の状態を感知したりできます。
また、データとして読み取り集めたりすることも可能です。このセンサーは、目に見えない情報も感知することができるものも存在します。
例えば、振動・圧力・音声・重さ・匂い・光など様々な情報を感知してデータを収集することが可能です。
このセンサーがIoTには必ず必要になります。
ネットワーク(通信手段)
3つ目に必要となるのは、「ネットワーク(通信手段)」になります。まず、モノにセンサーを取り付け、モノの状態や周辺環境の情報を感知しないといけません。
次に、この情報を可視化できる装置(パソコン・スマホ等)に送信します。このように、情報を送る役割が「ネットワーク」にはあるのです。
ネットワークと言っても、さまざまな種類があり、現在では無線ネットワークを利用するのが一般的になります。
無線のほかに有線のものもありますが、IoTの場合はほとんどの場合は無線を使用するでしょう。
また、無線ネットワークの中にもいくつかの種類が存在します。
そのため、データの重さやデータを送る速さ・送る距離など、用途に合わせて使い分けたりする必要があるのです。
アプリケーション(可視化するため)
最後の4つ目は「アプリケーション」になります。こちらは、送られてきた情報を可視化するために必要です。
端末(パソコン・スマホ)に届いた情報というのは、暗号レベルであることや、送られてきた情報があまりにも膨大な時があります。
このような状態で送られてきたデータを解析したり最適化する際にこのアプリケーションが重要な役割を果たすのです。
また、人間が分かりやすいようにグラフや図にまとめるのもアプリケーションの役割になります。
急成長中のIoT!なぜIoTが注目されているのか?
2017年ごろには「IoT元年」と言われるほど、IoTの注目度合いがかなり高まりました。
IoTのすごさは概要などからなんとなくわかりましたが、なぜここまで注目される分野なのでしょうか?
2022年には12兆円を超えるとされているIoTですが、ここからは市場の現状やその注目される理由について詳しく解説していきます。
IoTの市場規模とその現状
国内のIoT市場は急速な拡大をしていて、2020年には6兆円と言われていた市場規模が2025年には10兆円に達すると予測されています。
これは年間平均成長率(CAGR)で見ると、10.1%です。
10%近く成長している市場は今の国内だとほとんどないので、IoTがかなりの急成長をしていることが分かります。
IoTが注目される理由とは?
年間平均成長率約10%とかなりの勢いで成長しているIoT市場ですが、なぜここまでの注目がされるようになったのでしょうか?
一番の理由は、人口減少や少子高齢化の問題から来ています。今の日本は、人口が減っていき高齢者が多くなっているので、労働者が常に不足中です。
しかし、インターネットの発展もありビジネス競争はかなり激化していて、どの会社も存続のために業務の効率化を求められています。
このような理由から、業務の効率化に役立つIoTが注目されているのです。
今あるビジネスの大半は、モノの状態や変化をしっかりと確認して随時適切な処理を行っていく必要があります。
そのため、周辺の状態確認や監視作業というのは必ず必要な業務です。
この必ず必要な業務を自動化して人手不足を補ってくれるのがIoTになります。
IoTが導入されれば、人手がいらなくなり人件費の削減や業務の効率化がされるでしょう。
そして、会社の売り上げや利益が上がるようにもなります。
IoTの導入が進んでいる業界はあるの?
IoTが進んでいる業界は、精密機器・重工業・産業機械など「組立製造」や「官公庁」「クロスインダストリー」などがあります。
これらの領域は、IT化が遅れているため、IoTを導入して自動化することで無駄な業務の削減が可能です。
また、効率化につながりやすいためIoTに対する投資が積極的に行われています。
将来的には空港や農業、ショッピングモールなどの商業施設と様々な領域にIoTは導入されていくことでしょう。
あと10年くらいしたら、日常生活すべてがIoT化している可能性もありますね!
IoTの活用で豊かになる社会
IoTが活用されることにより社会というのは豊かになります。豊かになるといっても、どのような状態になるのか気になりますよね。
以下では、どのように活用すれば社会が豊かになるのかを解説していきます。
医療分野の技術発展に貢献できる
IoTをうまく活用することにより、医療分野の技術の発展に役立つことが可能になります。特にIoTの活用が進んでいるのが、ウェアラブルデバイスです。
このウェアラブルデバイスというのは、身に着けて使う情報機器のことで、腕時計型やリストバンド型などさまざまな形があります。
このウェアラブルデバイスを装着することにより、脈拍・心拍・血圧などを測定することが可能です。
このデータを取得したらすぐに医療機関に送付することができます。
また、近くにいなくても患者に問題が起きていないかなどをすぐに確認することが可能です。リアルタイムで情報共有することもできます。
このような形をとると、人材不足も補ってくれるため、医師不足の地域などにも多大な貢献をしてくれ医療崩壊を防いでくれます。
日常生活が豊かになる
私たちの日常生活を豊かにしてくれることにもIoTを活用することができます。
「アレクサ」などが有名ですが、言葉を聞くことができテレビ・エアコン・照明など家電の操作をしてくれる機械も誕生しました。IoTが普及すれば、リモコンというものが不要です。
この遠隔操作というのは、家の中だけではなく外でも行うことができます。また、スマホからテレビの録画や電気を消したりすることも可能です。
そのため、IoTの発展により電気の消し忘れなどをしても安心して外出できるようになるでしょう。
経済を豊かにしてくれる
日常生活だけではなく、経済の発展にもIoTを活用することができます。
物流や製造などにIoTを活用することで、今まで人が必要だった作業も人手がいらなくなり効率よく業務を行うことが可能です。
例えば、配送作業などではTMSを使用することで、人材の配置や配車ルートを効率的に決めることが可能になります。
物流や製造だけにとどまらず、農業分野でも積極的に活用されているのです。
ハウス栽培では日射量や土壌に関する情報を集めて、この情報に基づいて水やりの量を調整したり温度や湿度を調節してくれます。
交通事故の減少などにも貢献
交通分野でもIoTは活用されていて、交通事故の減少などに貢献してくれます。
また、バスや電車の運行状態や、道路の混み具合を確認できるようになり利便性がとても高まるでしょう。
タクシーの配車アプリなどにもこのIoTの技術が使われていて、日本ではあまり普及していませんが海外ではかなりの地域で使われています。
交通事故の減少には自動運転などの技術が発達し、事故が発生する前に自動でストップが可能です。
このように、IoTの技術というのは社会を豊かにする力があることが分かったと思います。
IoTの活用事例は?
ここまでは、IoTがなぜ社会を豊かにしてくれるか解説しましたが、実際の活用事例を聞いた方がより理解できると思います。
そのため、ここからはIoT技術を用いられたものについて解説していきます
製造業への活用
製造業にはIoTの技術が多く使われ役立っているのです。生産ラインの人数を減らすことや効率化するためにIoTの技術が導入されます。
例えば、工場にある機械すべてをインターネットに接続して、センサーが読み取った情報をすることが可能です。
そして、情報を分析していき、各工程の生産性や機械の活動状況などを随時確認することができます。
そして、どこかに無駄がないかを常に監視することができるのです。可視化することにより、より生産性を上げることができ現場の改善につながります。
また、スマートファクトリーの実現に向けても、製造業では今後ますますIoTの技術が取り入れられていくでしょう。
※スマートファクトリーとは、可視化による生産性改善だけでなく、設計から製造、保守までのビジネスプロセス全体の変革の両面を見る「DX」を行った工場のことだ。
引用元:スマートファクトリーとは
スポーツへの活用
スポーツ分野におけるIoTの活用事例も多くあります。
選手のプレー内容を分析したりスポーツ観戦に活用したり、さらにIoTによって生まれる新しいスポーツ競技などもあるでしょう。
またセンサーを身に着けることにより、選手の動きを測定できます。走行距離やスピード、加速や減速、方向転換など細かな動きを記録して分析することも可能です。
このような技術があることにより、怪我を未然に防ぐことができます。
観戦に関しては、電子チケットを販売することにより転売や不正利用の防止をすることができるようになります。
そして、ベビーバスケやHADOなどの新しい競技も作られるのです。この競技が気になる方は調べてみましょう!
農業への活用
IoTなどの技術を活用した農業をスマート農業と言います。これが、長い間解決されなかった課題をなくすことを可能にするかもしれません。
ドローンによる土壌や生育状況の情報収集や自動運転のトラクターで人がいなくても栽培が可能です。さまざまな場面で活用されているので例を挙げればきりがありません。
海外では日本よりもかなり農業にIoTを取り入れた技術を活用していて、日本も遅れながらも必ず取り入れていくはずでしょう。
また、オランダは九州と国土が同程度ですが、IoTのおかげで農産物の輸出額世界2位になるなど大躍進を成し遂げています。
IoTが抱える課題とは?
IoTは色々な分野に取り入れられているため、うまく扱うことにより社会が豊かになることがお分かりいただけたと思います。
しかし、IoTを普及させるには数々の課題があり、この課題が原因で日本では普及が遅いです。
根本的な原因はIoT人材が不足しているということにあります。優秀な人材は海外に行ってしまうなどがあり、なかなかIoT人材を集めることができません。
IoTでいくら情報を集めたとしても、集めた情報をどのように利用するかなどを考えるのは人間の役割です。そのため、施策や対策を考えるには優秀な人材が必要不可欠になります。
また、ネットワークの負担が大きくなるのも問題です。IoTにより通信する端末が増加すると既存のネットワークシステムでは処理しきれなくなります。
こうなるとシステムが弱くなってしまい、サイバー攻撃のリスクが増える可能性が出てきます。そのため、ネットワークの負荷を分散させるべきと言われるのです。
このほかにも、大量の電力が必要になるので、電力の供給ができないとライフラインが完全に機能しなくなります。
また、セキュリティリスク増加の可能性も出ます。個人情報保護が叫ばれているので、このセキュリティ問題を解決しないことにはIoTはなかなか普及しないかもしれません。
まとめ
IoTを活用することにより、医療・交通・製造・農業・物流などさまざまな産業技術を発展させ社会を豊かにしてくれます。
まだIoTは普及していませんが、将来的には全ての家庭で使われるような社会のインフラになるでしょう。
課題も多くありますが、社会のためにもなるべく早くIoTの普及が進んでほしいです。
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