先に断っておきますが、私にはいわゆる霊感というものが全くありません。
親族の中には霊感ある人がいて、お墓や事故の現場に行くと気分が悪くなったりするそうですが、私自身には何の力もないので、世の中には目に見えないものもあるんだろうなぁという程度で、そういう類の話は信じる時もあれば信じない時もある程度です。
でも、あの日だけはそんな私も不思議な体験をしました。
私は母方の祖母が子どもの頃からとても好きでした。
父方の祖父母は早くに亡くなりあまり記憶にありませんが、母方の祖母が紙風船やお人形でよく遊んでくれたのを覚えています。
祖母はいつも綺麗な身なりをしていましたが、私が大学生の頃に体を壊し、みるみるうちに弱っていきました。
私はそんな祖母を見るのが辛くて、あまりお見舞いに行かなかったのですが、ある日祖母の夢を見ました。
夢の中の祖母は、もう長くはないからと私や母に別れを言っていて、私はそんな祖母の足にしがみつき、まだ行かないで欲しいと号泣しながら訴えていました。
そして日の夜、祖母は1人で静かに息を引き取りました。
お通夜やお葬式が終わって祖母の家である母親の実家に帰り、荷物を片付けていると「リーン」という鈴の音が聞こえました。
この家に鈴なんてあったのかな、と辺りを見回すと、同じように不思議な顔をした母がいました。「もしかして、今鈴の音が聞こえの?」と聞くと、「やっぱり、したよね?」と母。
母も私と同じで、霊感はありません。でもこの時は確かに2人とも鈴の音が聞こえました。
いつも綺麗で優しかった祖母らしいお別れの仕方だったのではないかと思います。
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