【不思議体験】「お迎えの人」との遭遇

私がまだ、6歳の時の話です。私は小学校に上がる前でした。

私は母と一緒に、山の方にあるフラワーパークに行きました。
そこはお花が沢山咲いているだけでなく、観覧車等やちょっとした幼児向けの乗り物もあり、幼い私は楽しく遊んでいました。

綺麗な沢山のお花に囲まれてのお散歩は初めての体験で、お花に夢中になっていました。
休日だったので、フラワーパークは沢山の人で溢れかえっており、母と手を繋ぎ迷子にならないように気を付けていました。

そんな時、幼いながらに不思議な人を見かけたのです。
今でもはっきり覚えていますが、黒いロングのワンピースを着て、真っ黒い杖を持っており、白髪で髪が長く、鼻が異様に高い老婆がいたのです。

あきらかに、周りにいる大人たちとは雰囲気が違っていました。

「他の人と何か違う。」

私は、その老婆から目が離せなくなり、気が付くと母の手を放してしまっていました。
母がいないことに不安を感じてはいたのですが、あまりにもその老婆が強烈で衝撃的だったので、しばらくずっと遠くから眺めていました。

するとその老婆は、お年寄りの男性の後ろに付いて歩いているようでした。

「何しているんだろう。」

ずっと見ていたのですが、人が周りに多くいたため見失ってしまいました。

私は1人になったことが急に怖くなり泣いてしまい、係員が来て、迷子の呼び出しをしてくれました。
母に迎えに来てもらい、老婆の話をすると、まだ幼い私の話を優しく聞いてくれていましたが、

「そんな人本当にいたの?どの辺りにいたの?」

と信じている感じではありませんでした。

母と観覧車に向かう途中、遠くにまた老婆が見えました。
老婆はその時も、先ほどの男性の後ろに付いて歩いていました。

私は母に、

「お母さん、あそこにいるよ!!わかる?」

と老婆を指差したのですが、母はきょろきょろしながら、老婆を確認出来ていないようでした。

「お母さんには見えていないんだ…。」

私はそう感じ、自分だけににしか見えない人なんだと理解しました。
老婆も気になっていたのですが、観覧車に乗りたかったのと、迷子になった恐怖感から、自然と老婆から目を離しており、母と観覧車に乗りました。

それから、小さな乗り物にも幾つか乗り、老婆をすっかり忘れ、パーク内を楽しんでいました。

一通り楽しみ、そろそろ帰ろうとした時、母がトイレに行き、私はトイレ脇のベンチに座り、母を待っていました。

夕方近くだったので、出口の方へ歩いて行く人で混雑していました。
その時です。

あの老婆がこちらに向かって歩いてきたのです。
「こっちに来る!!」と目を閉じ、ゆっくり目を開いた瞬間に私の目の前に老婆は立っていました。

「お嬢ちゃん、私のことが見えるのかな?お嬢ちゃんが見えていたのはずっと気が付いていたよ。怖がらなくて大丈夫。私は仕事でここに今日は来たんだよ。私の仕事は、弱っている人をお空に連れて行くことなの。だからそろそろお空に住む予定の人を、前もって確認しに来ているんだよ。本当は誰にも見えないはずなんだけどね。」と言いました。

ゆっくりとした口調で、私がわかるように話してくれました。
老婆の顔はやはり特殊で、鼻が突き出ているように高く、しわくちゃ顔で、目の色が青っぽい印象でした。

その後老婆は持っていた杖で私の足首をトンと軽くたたき一瞬で消えてしまいました。

私はびっくりして、固まっていましたが、トイレから母が戻ってきて、放心状態の私に
「どうしたの、何かあった?」と聞いてきました。私は今あった出来事を母に話しましたが、

「さっきから何か言っているけど、誰かのいたずらよ。知らない人と話してはいけませんよ。」となかなか信じてもらえませんでした。

その時から、「老婆の仕事ってなんの仕事なんだろう。」と考えたりしてきましたが、大人になるにつれ、それがなんだったのか、想像が出来るようになり、とて不思議で恐ろしい体験だったと感じるようになりいました。

老婆は、「お迎えの人」だったのだと思います。

言葉は悪いですが簡単に言うと「死神」だったのではないでしょうか。

フラワーパークで年老いた男性の後ろを付いていたのは、きっとその男性が、もう長くは生きられないから確認しに来ていたのだと思います。

老婆が自分を「誰にも見えないはずだ」と話していたけど、幼い私に見えたのはなぜだったのだろう。

私は、霊感があるわけでもないのに、今でも不思議で仕方ありません。

この体験をしたことで、死神が見えた人って他にどんな体験をしているか検索してみたり、人に話して反応を伺ったりしてきました。

信じる人はまずほとんどいませんよね。(笑)

あまりに現実離れした小さい時の記憶なので、夢だったのかなと思うこともありますが、母もあの時私がフラワーパークで話した出来事を今でも覚えているので、私が老婆に会い、会話をしたことは事実です。

あの時信じてくれなかった母も、今ではすっかり信じてくれるようになりました。

その体験があるので、私は目に見えないものや、現実的にありえないような出来事はあり得ると思っています。

この記事はランサーズにて今までの人生で起きた不思議体験のエピソードで募集しました。

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